産廃の最近の記事

 自分は走り屋出身などといってもレース経験や豊富なサーキット経験があるわけでもなく、速さよりも芸を求める埠頭系・駐車場系と言われる走り屋に青春捧げていました。空き缶でジムカーナっぽいミニコースを作ってグルグル走ったり、膝をする、ヒジをする、メットをする、タンデムしてる後ろのやつが膝をするダブ膝に、膝を支点に転倒しつつ回るドリコマ等々、速く走るよりはギャラリーに受ける芸をする系統の走り屋が当時結構いたのです。そんな流れでしょうか、04年当時スポットに復活したといっても、やることといえば左はサイドスタンド、右はスーパートラップの皿で火花をどれだけ綺麗に散らせるかな? のような。SRXは3型キックで、前後TT900GPに、リアショックにWPを入れているぐらいで、あとは吸気にCRというライトチューンでした。ジムカーナ選手がいるスポットでの練習もその「芸の道」の延長線上みたいなものでしたが、このお三方が熱心に「君ならすぐにシード選手になれる!」とうそぶくもので、すっかり調子に乗ってしまった模様。明けて05年には湾岸のスポットで転倒して手指を骨折し、嫁に「いい年して夜のスポット走るの禁止。昼なら許す」と宣言されたのを機に、競技やってみようかな?という気になってしまいました。もちろん最初はモロヤル気ではなかったのですが......。

 そもそもジムカーナという競技に対して、自分は予備知識もない上に悪い印象もあるぐらいでした。皆さんはジムカーナってどんな競技だと思います? 自分はパイロンを使って白バイの真似事をするようなものに感じていました。ネットで検索しても、選手は教習所の教習生みたいな変な前掛け(ゼッケン)をつけて走っています。ダサすぎる......。だいたい反骨の象徴であるバイク乗りが、なんであえて権力の象徴みたいな白バイっぽいことをせんといかんのか! という偏見もありましたし、バイク屋には「ジムカーナをやるとEGを壊す」とも。加えてジムカーナではクラッチを使わないで走るのがスタンダードといいます。600もあるビッグシングルで細かいパイロンで作ったセクションをノークラッチでやるの? 駄目押しが「セパハンよりもアップハンドルが定番」ということでした。美しいSRXのフォルムをアップハンドルに!! ありえません。あってはならないことです!
 そんなこんなで競技に対しては相当後ろ向きだった自分ですが、その後、またもやスポットで凄まじいモノを目撃してしまいました。それが、「ジムカーナA級選手の走り」だったのです。


 その日に見た選手は既に引退なさっているA級選手のN選手。いつものスポットでUさんと一緒に走っていたのですが、それはもう金玉袋を全力で蹴られるような衝撃でした。
 まず、衝撃的に装備が汚い。革パンはもう、どれだけ転び続けたらこうなるのか分からないというほどホツレてボロボロ。レーシングブーツは戦場帰りの兵士の軍靴みたいです。そして衝撃的に、声がでかい。目を合わすのが怖いぐらいの迫力野獣系のがなりんオヤジです。中高時代の体育教官室の臭いがしやがります。
 若き日に通ったスポットでも、ロードのエリア選手権に出ているライダーが慣らしやセッティングに来ており、後ろを必死になってくっついていこうと思ったこともありました。軽くちぎられましたが。思えばレーサーのRSを公道で走ってる奴がいるんですからのどかな時代ですが、その衝撃をはるかに凌ぐものが、N級選手にはありました。
 そしてN選手は、これまた見たことのないようなアップハンカスタムの900ccSSにまたがると、ズボボボ!っとエンジン始動。その後見たものの衝撃を、自分は未だに忘れられません......。
 高らかにエグゾーストノートを響き渡らせ、たかが10数メートルの直線をドラッグレースバリに全開でぶっ飛んでいくN選手。そしてパイロンを巻いて戻ってくる時、自分の脳内では明らかに漫画の効果音チックに「ぎゅりりりりり!」という凄まじい「旋回音」が鳴ったのです。
 ぎゅりりりりり!!!
 バイクが! バイクが俺の知っているバイクとゆー乗り物と、違う動きをしている。そんな動きをしたらバイクじゃない。なんかおかしいんじゃねえのかと。それは、以前見たことのある「白バイ大会の優勝者」とは比較にならないものでした。自分が利用していたスポットにたまに現れてパイロンを置いて練習している「安全運転大会全国常勝チーム」ともまた、まったく比較にならないものでした。当時の自分、パイロンを使う競技という点だけで、競技ジムカーナがそれらの「低速バランス系競技」とは全く違う競技であることを知らなかったわけですが......。

 ぎょりりり! ぐりぐりぐりぐり!

 ありえない勢いで、ありえない小ささでバイクが旋回し、こちらを睨みつけるやFを浮かしながらのダッシュで猛然と戻ってきて、斜めにケツを振りながらのジャックナイフで停止したN選手は言いました。
「路面冷えちゃってよお! 全然グリップしねえよ!」
 おいてめえ! 今ぎゅりりりり!ってやったっぺよ! グリップしねえって、無茶苦茶してんべよ! なんて千葉弁丸出しで言えませんでした。もちろん、そのN選手がかつて代表を務めていたチームに自分が所属することになるとは、当時予想もしないことだったのでした。
 ただその後。PCを前に、ヤフオクの入札ボタンにマウスポインタを合わせてフルフルしている自分がいました。ブツは、SRXに入れられるFZR(1WG)の前後ホイールとスィングアーム。帰れない道に進みかけている予感だけは、その時すでにあったように思います。

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ぽちっとな

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ぼひっとな。



つづく



 その日、自分はいつも通り練習スポットにモチュールの空き容器で目印つけて、簡単なコースを作ってグリグリと回っていました。そんなとき、近くで同じように練習している人たちのことは、嫌でも眼に留まるものです。そしてその日自分が見たのは......怪しげな二人組の中年男でした。
 ひとりは、慣れていない人間ならターンすら難しいほどの道幅の練習場で、でかいGSF1200をグルグルとんでもない速度で回してます。まるで曲芸...。さらにもうひとりは、ミニバイクのKSRに乗っているのですが、なんかラジエターシュラウドが横に広がっていて、バランスが変。音も変です。走りはもっと変......。一本のパイロンの周りを、自分の尻尾を追いかける狂犬のようにグルグル回っています。なんじゃあれは......。
 そしてそんな二人を眼の端に留めながらひとしきり遊んだあと、自分が帰りがけにその二人のそばを通ると、自分は呼び止められたのでした。
「やあ君! 動画とってあげるから、走ってみなよ」。
 なにいいいい!!
 恥ずかしながら、全開で攻めて走ってみました。冷えた路面にリアが大きく横流れしてギョッとしながらも平静を装い。すると、その二人はバイクを見ながらこう言ったのです。
「人がバイクを越えているよね~~(ニヤニヤ)」
「このバイクではですね! もう限界。タイヤが限界。君はスゴクハヤイからホイールを変えたらもっともっとハヤクナルヨ! 今はGPR70SPっていういいタイヤがあるから、それを履けるホイールにスルコトダネ(ニヤニヤ)」
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当時使っていたTT900GP。たしかにタイヤ限界ではあったけど......。


 この二人、GSFの方が、現A級のジムカーナ選手で当時B級シードだったTさん、そしてKSRの方は、現B級で後にジムカーナのイベントレース「関東事務茶屋杯」の主催者となるKさんでした。聞くと彼のKSRにはKDX220SRのエンジンを積んでいるといいます。そりゃ、ラジエターでかいはずです。アホかと思いました。ちなみに当時を思い出してK氏はこう言います。
「あの時は、練習場の真ん中でずっと走ってるウルセエのがいるから、一緒に走って仲間に引き入れて場所を開放させるか、けちょんけちょんにして退場させるつもりだった」 
 思えばこの鬼畜三人との出会いが、その後の自分の人生を大きく左右することになったワケですが、自分が本格的に道を踏み外すには、もう一つの強烈な体験が必要でした。そう、忘れようにも忘れられない、強烈な体験が!!
 どうでもいいことですが、こうやって書いている背後で、嫁の水槽の餌金(熱帯魚の餌用の金魚)が、観賞用の水草をバシバシ食っています。止めるべきでしょうか。

つづく

第一回で偉そうに言っておきながら放置ですみません。
実は09年の秋、「ダンロップ杯JAPANカップ」を最後に、自分はSRXを競技マシンから引退させ、現在はTYZM(TZM50RにWR250FKというカートレーサーエンジンを突っ込んだ)にて競技活動を継続させています。SRXを引退させたからこそ言えることもできてきてはいるのですが、毎週末どころか平日も朝な夜なと練習に費やして全力疾走でやってきたSRXでの競技人生を終了させ、少々放心状態が続いてもいました。今もSRXをしまっている倉庫に独りで行くと精神的に大きく落ち込んでしまうため、あまり見ないようにしてるぐらいです。

さて。
そんな、本当に真っ白けっけになるまで完全燃焼した、SRXと自分の競技人生について、話したいと思います。

 そもそも! そもそも、自分とSRXの出会いは「彼女が乗ってたバイク」という形でした。そして初代SRXは二十代の頭に、従兄弟が乗っていた400の不動車をもらうってきたものです。長く話すとどんどん長くなっちゃいますが、ハーレーのXLCRのシートカウルとアップハンドルでトラッカーっぽいカスタムを作ってみたり(フロントノーブレーキノーライフ)、680までボアアップさせたEGでガードレールに突っ込んでみたり。その後、奥さんとタンデム用に買った400を焼きつかせて608にボアアップしてみたり...。
 元々ライダーとしては「毎日派」で電車には乗らずに仕事も遊びもバイクで動くタイプであり、十代から二十代にかけてはいわゆる走り屋小僧・膝すり小僧の一端でもあり、攻めて走るならGOOSE、SRXはタンデム&業務用と考えて、両方を分けて所有していました。いずれにせよビッグシングルには魅力を感じていたわけではありますが。
 どっこい、30代になって自営業である稼業が軌道に乗ってくると、俄然若き日の血が騒ぎはじめてしまいました。仕事用としてFJ1200を買いSRXをお遊び専用として使えるようなると、歯止めが利かずに一気に小僧に逆戻り! 首都高のチームに所属して夜な夜な環状線を走ったり、湾岸のスポットを小僧たちに混じって片っ端からバトルを吹っかけるようになり......。原点回帰といえば聞こえは良いのですが、仕事一辺倒で趣味を封じまくってきた二十代後半のストレスが一気に噴出したような感じ。ちなみに当時もGOOSEを所有してましたが、なぜSRXで遊び始めたかというと......。GOOSEの車検が切れていたから(ヲイ......)
 ところがそんな04年冬の週末、自分はある衝撃的な出会いをいくつか繰り返します。その出会いが、その後の人生狂わすものになろうとは......。

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04年末当時のSRXはこんなに綺麗でした......こんなにも...


 それは04年末11月のことでした。いつものように週末のまっ昼間っから自分が湾岸のスポットで無駄にタイヤを減らしていたところ、同じ場所を練習に使用していたオッサンに声をかけられたのです。その人が、Uさんでした。
 Uさんは、ちょっと自分がそれまで知ったことのあるどんなライダーとも違うタイプの人でした。まずなんと、御年60歳を控えたオッサン。ですが日に焼けた筋ばった二の腕なんかは、めちゃくちゃ痩せマッチョで、ちょっと見じゃ二十代です。その話すパワーもさることながら、乗っているバイクといえば金にペイントされたモトクロス風のゼッケンカウルをつけたNSR。シートラバーはヒョウ柄。そんなNSRをアップハンドルにして、凄まじい勢いで走っています。派手、速い、オッサン......。なんじゃこの人は......。そしてそんな派手オッサンのUさんは、その場でパイロンを並べてコースを作り、こう言ったのでした。
「君も走れ。なあもう、遠慮しなくていいからいいから。ほら用意して、走る前にコース歩くよ。そんで、あとでタイム計るからな。ほら歩くよ!」
 なんちゅーマイペースなオッサンだと思いつつも、基本的に競争ごとの大好きな自分の中に、メラっとなにやら燃え上がったわけです。タイム計測ですと!! よし。我が秘めたるなんたるやらをみせつけてやらん。
 が。
 その日のコースでUさんは58秒。自分は60秒だった記憶があります。60間近のオッサンにまるでついていけないショック! ですがUさんは別れ際にこう言ってくれました。
「初めてジムカーナを走って、しかもそのバイクなら、すごく速い!」
 さて。この人のべた褒めに騙されてどれほどの選手が生まれたのかは不明ですが、相当数でしょう。聞けばUさんは「ジムカーナのレース出ているんだよ」という。おお、オッサンだがレーサーさんなのか! その人の2秒落ちなら......案の定、ちょっといい気になる自分でした。浅はかなことに。
 さらに自分は翌週同じ場所で、今度は不気味な二人組のオッサンを見ることになります。

つづく



SRXという稀代の名シングルがこの世に登場して、20年以上。もはやレトロの域に入るこの名車に『戦闘機』の冠を被せることはできると思いますか?

 

初めまして、産廃と申します。SRXはサーキットで楽しい、峠で楽しいと言われ、様々なエンスーさんたちの評価を受けて来たバイクですが、果たしてこれを「他車種との無差別級バトル」のなかに突っ込んだら、どのような結果が出るのでしょうか。

 

キック始動・ツインショックのSRXを『競技ジムカーナ』というストイックな世界に持ち込んで開発した結果、見えてきたのはSRXのセットアップ・ライディングについてこれまで言われ、雑誌に書かれ、ネットでも書かれてきた様々な「定説」への否定でした。

 

SRXは、まだまだ闘えるバイクです。そして競技ジムカーナとは非常に特殊化した競技でありつつも、公道にフィードバックできる情報の多い競技でもあります。公道で現行車種やスポーツ車両を千切っては投げ千切って鼻毛ぼーんできるようなSRXの開発方針、パーツ選択、トレーニング方法について、競技人としてたった3年ですが、死ぬ気で全力投球した経験と情報を、公開できればと思います。

 

 

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(サーキット遊び仕様にした産廃号です。ジムカーナはレーシングスリック禁止!)

 

というわけで、期待しないで下さい!

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